<第3ラウンド>
地下駐車場に車を止めたあと、マミちゃんが予約をしてくれていた高層ビル26階のスカイビュッフェに移動します。
席に座ってかしこまった時、谷さんの妹は言いました。
「あの、お名前お伺いしていいですか」
そして各自、ざっと自己紹介を行います。
谷さん妹は、ルイちゃんという名前でした。
ぼくは谷さんの妹というイメージを振り払い、目の前のルイちゃんを、一人の女性として認識することを決めます。
席を立ち、バイキング形式の料理を取りに行ったときのことです。
女性陣と男性陣は、自然と距離を空け、各々、感想を話し合っています。
そのとき、きゃぷてんはぼくに言いました。
「お前さ、ルイちゃんのこと気に入ってるやろ?」
「いや、別にそんな…」
図星を突かれたものの、ぼくは頭を掻きながらごまかします。
「何年の付き合いやと思ってるねん。
ロータリーでであった時のにやけた横顔だけでわかるわ。
お前は、妹って情報より目の前のルイちゃんに単純に惚れてもてる」
「そういうお前はどうやねん?ルイちゃん、すげえ可愛いよな?」
「そら、可愛いと思うよ」
「じゃあライバルやな」
「いや、違うで。
俺は、同級生の妹ってだけで恋愛感情が一切発展せんのや。
妹って思うだけで、姉ちゃんの顔が浮かんでまう…
それぞれ価値観はあると思うけどな」
「え?ほんま!?
じゃあライバルじゃないん?」
きゃぷてんの告白に喜んでしまうぼくがいました。
超イケメンで頭の切れる彼がライバルになった場合、ぼくに勝機はないと思っていたため、アプローチする女性はかぶってほしくなかったのです。
「なんでライバルやと思っててん?
同級生の妹を奪い合う構図、なんか嫌やわ」
「じゃあ、お前はマミちゃんにアプローチするんか?」
「いや、それも違うな。今回は、ちょっとアプローチする気分ではない」
「そうか。ならこの食事会は、退屈させてしまうな、すまん」
「いや、退屈なんてせんよ。
俺は、見たいんや…」
「何がみたいねん!?」
「友達が同級生の妹に本気でアプローチしているところを!」
<第4ラウンド>
「応援もする。援護もする。だから妹にアプローチするんや!」
強引ながらもごもっともなキャプテンの言葉はぼくの心に火をつけました。
しかし、火がついたとはいえ、いきなり距離を詰めることはできません。
まずは4人で会話をして、交流を深める必要があるのです。
仕事のこと、学生時代のこと、部活動のこと、和気藹々と様々なことを話しているうちに時間はあっという間に過ぎて、バイキングの時間が終わりました。
マミちゃんはこの後に予定があるとのことなので、元町駅付近で彼女を降ろしましたが、そのときにマミちゃんとともに、ルイちゃんも車から降りてしまいました。
これは、解散の流れです。
そのとき、きゃぷてんはぼくに言いました。
「これは二人きりになれるチャンスや。
ルイちゃんにこの後、予定あるか聞いて、ないなら二人でどっかに行けばいい!俺はもうここで帰るっていうから」
「え?それはきゃぷてんに悪いわ。
お前は俺が、車で家まで送り届けるやん」
「気にするな、俺は電車で帰ってもええ。
ただ、友達が同級生の妹に本気でアタックする姿が見たいだけや」
「恩に着るぜ。一生忘れない」
こういう台詞はドラマのクライマックスで、俺を置いてお前はあの子を助けにいけ!というシーンで使うものなのかもしれません。
しかしぼくは、同級生の妹にアプローチをするために、このキザな台詞を吐いてみたのです。
きゃぷてんの言葉に背中を押されたぼくは、運転席から出ました。
そして、まだその場に留まっているルイちゃんに声をかけます。
「ルイちゃんはこのあと予定あるん?」
「いや、ないです。
っていうか、そもそも今日は男性と会うって聞いてなくて…」
「え??」
「マミと二人で遊ぶって思ってたんですよ。
そんな感じで誘われたから」
「じゃあ、ルイちゃんからしたら、友達と遊びに来たら突然、
姉ちゃんの同級生の男二人が現れた感じなん?」
「はい」
「なんかごめんな」
「謝らないでください。楽しかったですし」
彼女は少し戸惑いながらもにっこりとはにかみました。
そのつぶらな瞳と笑顔に、心の臓を撃ち抜かれ、かっわいい~~と思うや否やぼくはもう彼女を誘っていました。
「今から時間あるなら、もう少しどこか行こうよ」
このどこか行こうよ、というのは、もちろん二人で、という意味です。
ルイちゃんは時計を確認してから、「いいですよ」と答えました。
玉砕覚悟の突撃がまさかのOKをもらえた喜びも束の間、ドタドタドタという足音が耳に飛び込んできました。
足音の正体は、予定があるから帰ったはずの、マミちゃんでした。
「なんかまだ集まらなくていいみたいで、私、16時まで時間ありますよ!」
そのとき、ぼくがどんな顔をしていた、とか、地球の地軸が23.4度傾いているのはなぜ、とか、ルイちゃんと二人きりになりたかったのに、とか、そんなことはもうどうでもいいのです。
この世界は結果が全てなのですから。
女性二人が後部座席に乗り込んだとき、きゃぷてんがきょとんとした顔でぼそりと言いました。
「おい、全員集合してるやん。何があってん?」
ぼくは、`バーソロミューくま`に致命傷を負わされてしまった`ゾロ`に憑依した気持ちで呟きました。
「なにも、なかった…」

©ONE PIECE / 尾田栄一郎 / 集英社
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