【プロローグ】
青春とはなんだろうか。
この永遠の疑問に対して、サムエル・ウルマンは詩の中で答えを出した。
“青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心。
安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。”
“心の様相”
なるほどいかにもそうだ。
ただ俺は、ここにもうひとつの要素を加えたい。
青春とは、”意味もなく、ただ仲間たちと何の生産性もない時間をともに過ごすこと”だ。
高校時代の俺たちは、集合という概念が殆どなかった。部活終わりに流れるようにともに時間を過ごした。夜遅くまでただただともに過ごした。
あれから10数年が経つと、様相が変わってきた。
ほぼ毎日会社での仕事に人生の多くの時間を費やす。
それぞれの生活があり、パートナーがある。
集まる機会が少なくなり、何か理由をつけないと、全員で集まる機会が少なくなった。
今回のお話は2022年12月に遡る。
なお主人公のはずのとっしーは、今日はケッピーになっている。
*
汎用ヒト型決戦兵器と使徒のアイダ
先に言っておこう。
みんなから指摘があったように、俺ことケッピーはイライラしている。
なにか、ではない。
「この世の中のあらゆる不条理にキレている」のだ。
2022/12/03 10:07
「尼着です」
選ばれし者しか登録できないビズリーチに登録しているあくまは、集合時間の10:30よりも23分も早く到着した。
遅刻をしないことは当然として、10分前以上早く着くことが自然に身についているのだ。
仕事ぶりをみたことはないが、グループで一番の出世頭になることもうなづける。
あくまは俺たちの後輩だ。高校卒業後10年以上が経つが、今でも俺たちの中で唯一の後輩として小旅行などのイベントに混じってくれる。
それどころか、店の手配から何までスマートにこなしてくれる超有能マンだ。
ただし彼はひとつだけ心に決めていることがある。
それはバグジー親衛隊の先輩たちと遊びに行っていることは積極的に周囲に言わないようにしているのだ。
それはあくま自身の人生にとって恥ずかしいことだと気づいているからだろう。
それでもいつも来てくれるあくまに、俺たちは感謝している。
持つべきものは、優秀でギャグセンもあるが、無理やり連行されたときに悪魔のような顔になる後輩だ。
*
10:24 ボブからLINEが届いた。
「いまどこや?あとケッピーには裁判予定やから、覚悟しといてな」
そのLINEを確認して、ケッピーはピリピリした。
「集合時間は10:30や。遅刻ではない。なぜ裁判なんや!?」
*
9:50
「着いたで、どこ?」まさはるにメッセージを送るケッピーは焦っていた。
前回の小旅行での”裁判”が脳裏に焼き付いていたからだ。
まさはるからは「今からおりる」とLINEがあったものの、彼が来たのは10時を回っていた。
「おい!遅いぞ!はよせえって!裁判なるぞ!」
「人のせいにすんなよ。てかこのくらいじゃ裁判にはならん」カリカリしているケッピーとは対照的に、まさはるは余裕そうだった。
10:35頃、ケッピーとまさはるは5分遅れで尼崎に到着した。
先に待っているボブとあくまが合流し、京都へ向かう。
しかし、一人のメンバーがいなかった。そう、きゃぷてんだ。
きゃぷてんからの連絡を懐かしむように思い出す。
無念なり、きゃぷてん
小旅行前日の夜、きゃぷてんから衝撃のLINEが届いた。
それは本人がコ〇ナに感染しているかもしれないという可能性に言及する内容だった。
「(中略)検査をしない限り陽性と判断ができないということに気づいたからです。つまり私の決意により感染確率を0%に抑えることが可能となったわけです。
これでノーベル賞は俺んもんだぜえ〜。よって明日の会には必ず参加させていただくことをここに誓います。家族や職場にコ〇ナを持ち込むことを恐れている方は震えて眠ってください」
誰よりも他者をおもんばかるきゃぷてんにはあるまじき、感染まき散らし宣言。
あのときのきゃぷてんは、まだ自分がコ〇ナではないと信じたかったのであろう。
寝たら治る、寝たら治る、寝たら治る。
そう思って床についたはずだ。
しかし現実は惨酷だった。
05:46
「昨晩から熱が38度あるので私は参加しません。では、みなさんごきげんよう」
早朝のラインはきゃぷてんの無念の宣告だ。
きゃぷてんの無念を4人は痛いほど感じていた。
前夜の絶対に参加するぞメッセージからの早朝の不参加宣言。その短文に全てが詰まっている。
05:46は運命の時刻だ。そう、1995年1月17日05:46、阪神・淡路大震災が発生している。
「きゃぷてんが常識人で少し安心しました」あくまはほっとしているようでもあった。
きゃぷてんは発言は奇抜であるものの、行動自体は常に常識的であり模範的。
高校時代から変わっていなかったのだ。
しかしここで、ひとり、恐ろしい発言をしている男がいたことをケッピーは忘れない。
「いやー、おれはきゃぷてんに来てほしかったわー。だっとコ〇ナにうつって仕事休みてえもん」
そう、まさはるだ。
彼は仕事を休むためにコ〇ナになりたいらしいのだ。
「ちょっとわかりますわ。ぼくも仕事から解放されたいっす」あくまもまさはるに同調した。
ケッピーは驚いた。
コ〇ナになってまで仕事を休みたいほど、彼らの仕事がしんどいということに。
「あれけっこうきついで」とボブが2回ほどコ〇ナにかかっている経験を語る。
「どんだけきついんすか?」コ〇ナに前のめりなあくまはきょうみしんしんだ。
「きちだ」
【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】
疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。
「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」
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当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。
大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。
今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。
「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、そんな結果を忘れて、ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物たちです。
おバカなことでも全力で生きているとなぜか楽しくなる。そんな魂を届けます。
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