「おいお前!デカい顔すんなやあ!」
原チャリから降りたおっさんは、顔を真っ赤にしていました。
「はっはっはー」とぼくはへらへらと笑っています。
「ヘラヘラ笑うなやあっ!」と、さらにキレるおっさん。
そのとき、迫りくる原チャリをよけていたはずのボブがぼくの隣に戻ってきました。
「さーせん、ほんまさーせん」と、ぼくの隣ではボブが一生懸命謝っています。
ぼくは不思議な心境になりました。いつもはぼくがやらかして、へらへらと笑っているボブが、今は平身低頭誤っているのです。
いつもはボブからめっためたに言い負かされているぼくとしては、それは非常に珍しい彼の様子でした。
その姿をみてぼくは、錯覚します。ああ、おっさんは、ボブに対して怒っているんだ、と。
そして他人事のように、ふたりの様子を眺めて、ニヤニヤしたのです。
「だからお前よお。デカい顔すんなよぉ!デカい顏!!!」
おっさんは、ぼくとボブに対して声を荒げました。
はて、デカい顏?一瞬考えた末に、これもボブが指摘されていることだとぼくは認識します。
顏の面積でいうならばボブの方がデカいのです。
ぼくは、心の中で、「顔のデカさとかどうもできんことにこのおっさん何キレてんのや」と思いながら不思議そうな表情を浮かびました。
「おい!お前!覚えとけよ…!原チャリの交通の邪魔をするし、デカい顏をするし…
学校に通報したるからな!」
おっさんは叫びすぎて疲れたのか、最後の捨て台詞を吐き捨てました。
そして、さっと原チャリに飛び乗って、下り坂を駆り去って行きました。
バッバッバツバッバッバツ
原チャリの後ろ姿を見送ったあと、ぼくは相も変わらずヘラヘラと笑いながらボブに話しかけました。
「通報されるってよ。ボブ、お前、えらいことしてくれたなあ!」
「は?叱られてたのは俺ちゃうで。とっしーやで?」
「へ?」
「おっさんはお前にキレてたんや」
ボブの思わぬカミングアウトに、ぼくは焦ります。
「いや、でも”デカい顔すんな”って言われたやろ?俺小顔やん?」
「アホか。顔の面積とちゃう。あのおっさんが怒ってたのはな。“お前の態度のデカさ”や」
「態度…?」と尋ね返します。
「ああ。坂ダッシュの練習は公道を走ってる。だから一般人が来た時によけるのは当然やろ。
なのにお前は原チャリに突撃していった。だから慌てたおっさんは急ブレーキで原チャリを止めた。
偉そうに部活して、道を避けへん態度にデカい顔すんなとキレてたんや」
普段はふざけまくっているボブが珍しく真顔です。人の真顔と言うものはこれ程恐ろしいのかと、ぼくは冷や汗をかけ始めました。
「デカい、態度、確かにとってた…」
ぼくはそのとき”通報するぞ”と言ったおっさんの言葉を思い出しました。
「おい、ボブ。あのおっさん、通報するっていってたぞ。こ、これからどうなるんや?」
「まあ恐ろしいことが起こるやろうな」
「恐ろしいこと?」
「覚悟しとけよ、世にも恐ろしい事や…」
【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】
疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。
「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」
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当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。
大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。
今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。
「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、そんな結果を忘れて、ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物たちです。
おバカなことでも全力で生きているとなぜか楽しくなる。そんな魂を届けます。
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