4話 なにわのスピン野郎 / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅱ章

3話 練習をしすぎて、逆に下手になる / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅱ章

 

ある日の朝練。

ぼくは、ギアルというテニス初心者の1年生と乱打という練習に参加していました。乱打とはコートの反対にいる人とラリーを続ける練習です。

 

テニスの経験がない方に、ここでこのスポーツの特徴をご説明します。テニスは、卓球と非常に似ているスポーツです。卓球台とテニスコートの差は、そのサイズでしょう。

テニスも卓球と同様に、ボールを打つ時に上からボールをこするようにスイングをして”ドライブ回転”をかける必要があります。ドライブ回転をかけることでコート内にボールが落ちるようになります。

 

しかしぼくとギアルは、このドライブ回転をかけることが苦手でした。ドライブとは、反対方向の回転がかかってしまっていたのです。そのため、ぼくらが打つボールは、コートに入らずにふわふわと浮いたままコート外に出ていくことが多かったのです。

 

実はこのふわふわと浮いてしまう現象は、軟式テニスでは致命的なことでした。何せ、普通に打つと、ボールが浮いてコートに入りません。練習相手にとっては、たまったものではありません。

ぼくとギアルはそんな実力、状態で乱打に参加しました。

 

この日は、3人の参加者がいました。ぼくとギアルと山川さんです。ぼくらの対面には、この部活の次期キャプテン候補と目される実力者である山川さん。テニスは上手いですが、気難しそうなお人です。

 

さて、そんな谷川さんとの乱打が始まりました。

 

ギュイィイィンッ

 

ぼくが放つ逆スピンのかかったボールはコート内に入らずフリスビーのように飛んでいきます。山川さんは、そのボールをみて、明らかに不満そうな顔をします。

山川さんは、「もういっちょ~」と言って、次のボールを使って乱打を始めます。

 

ぼくは、こーーとからボールがでないように力を入れずにボールをちょこんと当てました。すると、ネットすれすれの極端に浅いボールになってしまいます。山川さんはドタドタと全力で前方にダッシュしてきます。

顔にはそんないら立ちが見えていました。

 

逆回転スピンのボールというのは、ボールがコートについても跳ねないため、相手にとってはとても打ち返しづらい玉です。狙って打てるなら強いですが、常にスピンしかかけれないことは、厄介でしかありませんでした。

山川さんは、見るからに嫌そうな顔をしています。「こいつらと乱打しても、練習にならねえ。」

 

ぼくは焦って、ギアルと順番を交代します。しかし、ギアルも同じでした。

 

ッキギュイィイィッッッ

 

ギアルが打つボールは、コートなど目もくれず上空に浮かび上がります。その次に打つボールは、極端に浅いボール。山川さんは、ホームランと浅いぼてぼてゴロのような打球にいら立ちを募らせていました。

 

そうしてほどなくすると、山川さんはぼくらを一瞥すると、「チッ」と舌打ちしました。

そして、何も言わずにコートから、そそくさと部室方向に戻っていきました。

 

ぼくとギアルは顔を見合わせます。

「なあ、俺らが追い出したんかな?」ギアルは口をぽかんと開けます。

「そうやろな。俺らと乱打しても練習にならんと思ったんやろう」ぼくは眉を顰めます。

 

「気にせんとこな。でも、先輩を追い出すとかすげーな。俺らのテニス技術って」とギアルはなぜか誇らしげです。

「せやな、俺らは世界を変える力があるんかもしれん」とぼくもニコッとしました。

 

2人とも発想がしっかりとずれています。こういうズレを大切にしていきたいですね。

 

放課後の部活の際に、ボブときゃぷてんが笑いながらぼくの元に駆け寄ってきました。

 

「おい、とっしー。お前とギアルすげえな。乱打が下手過ぎて、山川さんを追い出したんやって?」

「まあ、せやな」

「特にとっしーのスピンは酷かったらしいな。ボールがコートに入りよれへん」

「すごいなんてもんじゃないよ。フリスビーみたいなもんや」

「それこそ自主練の賜物やな」

 

そして、いつの間にかぼくにこんなあだ名がつきました。

 

ッギュイィイィッ

 

なにわのスピン野郎。

 

5話 「遠慮すんな、もっとキレろ」カチキレ教唆 / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅱ章

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。

今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

1話 マチカド調査隊、推参 / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、そんな結果を忘れて、ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物たちです。

おバカなことでも全力で生きているとなぜか楽しくなる。そんな魂を届けます。

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