13話 電車通勤やめました、ママチャリで行きます。 / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅱ章

12話 こってり四丁!まいどあり~! / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅱ章

 

突然ですが、問題です。

「電車通学の生徒は、どのように学校に行くのでしょう?」

「はい、電車に乗って行きます」

そんな当たり前のことを当たり前にしていない少年がいました。

世間とのズレを大事にできていない少年は…

ぼくです。

電車で片道15分の道のりをママチャリで登校することを決めたのは、昨晩のことです。

「高校に入って1ヶ月ほどか。電車で学校行くの飽きたな。よし、チャリで行こ

そしてこの日は、いつもより”30分”だけ早く、家を出ました。

 

晴天の中、自転車に乗って学校へ向かうというのは、気持ちが良いものです。

無機質な電車に揺られるより遥かに爽快です。

「みんなってなんで電車、乗って学校に行くんやろな。こんなに自転車気持ちエェのにもったいないなあ~」

 

ぼくは、電車通学をしている生徒たちを少し小馬鹿にさえしていました。

世間とのズレに気づくどころか、世間が可笑しいと感じてしまっていたのです。

 

ぼくらの町、西桜ヶ丘から夢見台高校までの道は、交通量が多く、車は70kmほどの速度でガンガン飛ばしています。しかしそんな道路でも歩道を走りません。

「自転車は軽車両」というルールを頑なに守り、常に車道を通ります。

法律上は正しいのです。しかし、せいぜい30kmほどしか出ていないママチャリが車道を通っているのは、車にとっては邪魔でしかありません。

ビュンビュンとぼくの隣を追い抜かしていく車。

ブォッッー

車の風圧で、車体がグラつく時などヒヤヒヤものです。

その段違いのスリルがたまりません。

ホームセンター・カインズホームを過ぎたあたりの下り坂で、後方からものすごい音をたてて、接近してくる車がありました。

ふと振り向くとそれは、ダンプカーです。

多くの乗用車はぼくのママチャリを避けていきますが、ダンプカーは避ける気配がありません。

ブルブルブルバババブルブルババ…

という爆音を鳴らし、猛スピードで後ろから迫るダンプカー。

「こらあかんっ」

ぼくは命の危険を感じ、ハンドルを慌てて切りました。

キキキキキキーッッ

ママチャリは直角に歩道へ向かい、緩衝帯の草に突撃します。

ドッシャアッッー

勢い余り、体が歩道にぶっとばされます。

「ぐぅぬおっっー!」

得体の知れない声を微かに発しながら倒れこんだぼくの姿は、”栽培マンにやられたヤムチャ”のようでした。

5分ほどでしょうか、そのまま倒れこんで立ち上がれません…

痛すぎて立てない…わけではなく…

ボロボロになって倒れ込むキャラを作っていました。

 

©ドラゴンボール / 鳥山明 / 集英社

©プレミアムバンダイ

 

倒れこんでいる姿が少しかっこよく思えたのです。

そんな時に、可愛い女の子が助けに来てくれて

「大丈夫ですか!?あら、怪我してるすぐ手当を…」

そんなことは、もちろん起きません。

ぼくはむくりむくりと起き上がります。

その時、体に違和感を覚えました。

 

「いってぇ、こ、これはあかん。」

服は体中草だらけ、腕や掌はコンクリートに擦れて血だらけです。不良と一戦構えた後のようなスタイルになっていました。なお、実際のぼくは、不良とすれ違えば、ダッシュで逃げる類の人間です。

「こんな姿で学校いけねぇよ」ぼくは家に帰ろうとしました。

その時、頭の中に考えが浮かびます。

「ちょっと待てよ?この姿で学校行ったらかっこよくないか?血だらけのボロボロとか少年漫画の主人公やん。

流血してるのがカッコイイという説さえあるよな。血だらけで学校行くと、浅倉さんが俺を見て、ワイルドなところ大好きってなるかもしれん。よし。学校に行こう」

楽天的すぎる自問自答の結果、血だらけの状態のまま。学校へ行くことにしました。

その頃、電車では、ボブたちがぼくのことを噂していました。

「いつもこの電車で学校一緒に行ってるのに今日とっしーおらんなあ」

「遅刻ちゃう?遅刻する俺かっこええとか思ってんのやろ。」

「だっせぇなあ。」

「髪型はほぼ角刈りやのに、精神感覚だけは昭和のヤンキーを気取ってるからな…」

ダンプカーに轢かれかけ、避ける時に大クラッシュ、そんなこんなで草だらけの服と流血した腕で学校に行くことがかっこええと認識したぼくは学校へ向かいます。

「あ、今日はジャンプの発売日や」と、その風貌で途中にコンビニに寄ってジャンプを立ち読みする余裕っぷりです。

どうせなら遅刻した方がワイルドやとか思っているのでしょうか?

いいえ、ただジャンプが読みたかっただけです。

学校へ予想外の事故と確信犯のジャンプ立ち読みのおかげで学校に着いたのは8時50分。

20分の遅刻です。

この日は、全国模試が行われる日です。

ぼくらの担任、定年が近くおだやかな雰囲気の女性先生が試験官をしていました。

ガラガラッ…

学ランは土と草にまみれ、腕からは血を垂れ流し、鋭い眼光で薄ら笑いをしながらぼくは教室に入りました。

「どうしたの!何があったの?!」

普段はおっとりとした雰囲気のよしえ先生もびっくらこいています。

「何もないっすよ!ちょいと野暮用で…」

勝手に自転車で登校して事故ったなんて言えないぼくはごまかします。

どう普通に登校したら電車通学でこのような姿になるのでしょうか?

先生もクラスのみんなも俺がどこかでヤンキーと一戦交えたと思っているでしょう。

 

しかし、クラスのみんなの雰囲気は冷たいものでした。

目の前のテストに集中し、ちょろっとぼくをチラ見するだけです。

「あわてるな、俺。クラスでヒーローになれなかったことは仕方がない。でも浅倉さんは…」と思って、後ろ隣りの席にいる浅倉さんを見てみると…

綺麗ではない害虫をみたときのように顔をこわばらせていました。

「何、この人?なんか血が出てる…」と思っているのかもしれません。

「とちった!」

ぼくは心で叫びました。

クラスの反応は薄く、遅れてきたヒーロー作戦は大失敗です。

浅倉さんに「血だらけで学校来る武田くん素敵っ」と思われる予定が、ドンドン引き引きされています。

中学校が一緒だった下川だけが笑っています。

彼はぼくがヤンキーと一戦交えるような奴ではないと知っているからです。

気を取り直して模試に挑みましたが、疼く流血のズキズキした痛みでテストどころではありません。

結局、1限目の英語はさっぱりできませんでした。できないというか10分くらい解いてからグタッと寝ました。

2限目の数学もやっぱりできませんでした。3限目の国語も散々でした。

2限目からの国語と数学も同様です。

ぼくはテストというものを行う意味がわからなくなっていました。

「模試でええ点とってそれがどうした?点数じゃない。人間もっと大事なことがあるやろ?」

カッコいいこと考えていますが、ただただ勉強がめんどうになっただけです。

試験終了後、担任の先生がぼくを呼びます。

「今日は何があったの?詳しく話を聞くので部活動が終わったら職員室に来なさい。」

 

もちろんぼくは行きませんでした。

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。

今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

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