戦国時代に行われた天下分け目の戦いといえばどれを思い浮かべるでしょうか。
関ヶ原の戦い?山崎の戦い?
実はそのいずれも1日も経たずに戦いは終わるものです。
じゃんけんで1300円が動くというぼくと織田の天下分け目の戦いもあっさり終わりをつげました。
「じゃんけん…ほい!!」
握りしめた拳を包むのは織田のパーです。
「2600!!!」
そう、ぼくはまたもや負けたのです。
しかし膝から崩れ落ちるわけではなく、目にはまだ闘志が宿っています。
「待て!もっかいや!2600、倍チャン!じゃんけんほいっ」
冷静さを失ったぼくは、やはり拳に力を込めています。
それを見透かし、包み込むように掌をひらく織田。
これも一瞬で勝負がつきました。
そう、またもや倍…5200…!
「ぐぁはあっっー」
そう叫んだと同時にぼくは即座に続けます!
「倍チャン!じゃんけんほいっ」
ぼくは遂にチョキを出すことに成功します。グーで連敗し続けたぼくは、ここは勝利を確信しました。
「織田は俺がグーしか出さんとおもてるから、パーをだす!いける!」
しかし皮肉なことに、
5200円で終わるつもりだった織田は次のじゃんけんを意識していませんでした。
拳を握ったままなのです。
織田は不意を突かれ、拳をそのままだしたのでした。
チョキは、”パキンッバッキィ”という音を立てて、無情にも叩き割られました。
勝手に挑んで勝手に負けた。現実とは無情なものです。
‘じゃんけんで100円が動く’
そんなびっくり仰天イベントを開催中の高校一年生のぼくらはその金額の大きさに驚き、その場に沈黙が流れます。
「…」
「…」
ボブときゃぷてんも唖然としていましたが、あまりにも衝撃的な展開にくすくすと笑っています。
じゃんけんイベントを提案した彼らも、ここまで金額が跳ね上がるなんて思っていなかったのでしょう。
カオスが極まった状態を持ち直すために、審判のきゃぷてんは提案しました。
©UNISON SQUARE GARDEN「カオスが極まる」MV
「これはあかん。とりあえず、ラスト10400円で1発勝負やな。次のこれで終わりにしよ」
「このまま倍になっていったら。100万円とか越えるわ」とボブは腹を抱えています。
「100万とか国家予算やな」とぼくは一言。
「アホか、神戸市の予算くらいや」と織田が突っ込みますが、二人とも間違えています。
「お前らふざけてる場合ちゃうぞ!とっしーこれ負けたら、2万円を超えるんやぞ?」
そして、織田は、ニンマリ笑ってぼくに告げました。
「バイトしろ」
「いや、うちの学校バイト禁止や」ぼくはそう答えます。
するとボブは驚きの提案を出しました。
「織田の家で働けば?飯とか作れよ。そしたら織田のお母さんの負担減るやん。とっしーと織田のおかんは面識があるんやし」
まさかの家政婦案…
適当なことを言うボブたちを遮り、ぼくは織田に告げます。
「ほんまのラスト。10400円1発じゃんけんでよろしくや」
「ラストやぞ?」
織田は凄みのかかった声で応じます。
「ああ、男に二言はない」
1度のじゃんけんで10400円が動く。
ぶっとんだ勝負として、10400円をかけたじゃんけんが始まります。
「じゃんけんホイッ」
チョキとチョキ。
「じゃんけんホイッ」
チョキとチョキ。
高度なせめぎ合いが続きます
ハサミの刃が飛び散り、スーパーマーケットはさながら闘技場に変わります。
「じゃんけんポンっ」
グーとグー。
この熱戦は予想外のaikoが続きます。
そろそろ終わらさないと…
そしてぼくは渾身の力を込めました。
「じゃんけんポン!」
そう、ついにぼくのグーは、織田のチョキを砕いたのです。
「勝ったあっっ、うおおおっー!!」
ぼくは天を仰いでガッツポーズを決めました。
織田は、唇をプルプルさせ、拳をブルブル震わせながら「まだ終わらんぞ」と呟きました。
「へ?」現実に引き戻され、あ然とするぼく。
ここで”傍観者”の2人は言葉を続けます。
「たしかに10400円はチャラやけど、織田が今まで連勝した意味がないな」
「期待して喜んでた分落差がでけぇ!織田が負けたから続行を決める権利は織田や!」
ぼくは嫌な予感がしました。
いつまで続くねん…と。
これでは血を吐きながら続けるマラソンじゃないか。
*
そして、また戦いが始まります。
「じゃんけんほいっ」
「…」
この再戦でも、織田が優勢に戦いを進めました。
100
200
300
200
300
400
500
ぼくはあれよあれよという間に負け越します。
10400円がけで0に戻したものの、あれは1回で10400円という救済措置のおかげ。勝率はとても低いのです。
「600っっっ」
「もっかい倍チャン!」
「じゃんけんほいっ」
「1200っっー!」
「え?続ける??続ける?」織田はぼくを煽ります。
「つ、つ、続けるに決まってるやろがぁ!!」
そんな時、スーパーマーケットのBGMから流れてきたまるでぼくらを表現しているかのようでした。
♪終わらない歌を歌おう クソッタレの世界のため
終わらない歌を歌おう 全てのクズ共のために♪
©THE BLUE HEARTS / 終わらない唄
【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】
疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。
「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」
![]()
当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。
大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。
今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。
「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、そんな結果を忘れて、ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物たちです。
おバカなことでも全力で生きているとなぜか楽しくなる。そんな魂を届けます。
![]()
「俺たちバグジー親衛隊」人生を楽しむ名言がスタンプになりました!
おーるおっけーありがとう! いけたら?ラッキー! フル価値観
自己打破!! クォーター間の休憩は大事! 諦めんなあ!!
【姉妹サイト・関連コンテンツのご紹介】
②徒然道草 「さすがに草」俺たちバグジー親衛隊の意思を継ぐ著者が、おもしろくなき世をおもしろく~心行くまで人生を堪能するためのブログを始めました。サブカルから名言まで幅広く。
③徒然道草~道中を楽しむ オリジナルソングなどを発信するYOUTUBEチャンネル
④エンドビギニング 筆者が2020年にAmazonで発売した電子書籍
⑤投資の美学 ⚔ クリプトルパン 投資情報を発信するYOUTUBEチャンネル
コメントを残す