8話 きゃぷてんの帰還はちょうどええ / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

第7話 ちょうどええ部活はどこだ? / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

「ここって、もしかしてちょうどええんちゃう?」

ボブの一言は、ぼくと織田にぐさりと刺さりました。

 

この部活なら、「ボーズせえよ?」と圧をかけられることもなく、初心者に対してもビシバシとパワハラ指導をするような雰囲気はありません。

 

「ここにしよか」

 

「せやせや!せぇや!」

 

この選択は決して前向きなものではありませんでした。そんなことは誰もがわかっています。

カツ丼、牛丼、うな丼を食べたいけど、お金がないから仕方なく”木の葉丼”にする。そんな感じです。

 

昼飯を妥協するかのような気持ちで、ぼくたちはテニス部に入部しました。

 

 

それから1か月ほどが経ちました。

結論からして、ちょうどよさを求めた選択は間違っていませんでした。

 

本当にちょうどよかったのです。

 

部活動の負荷としてもちょうどよく、心地よくしんどいくらいでいい運動になります。

テニス自体は初心者だったものの、野球と動きが似ていることもあり比較的スムーズに上達していきました。

 

ぼくら3人以外にも初心者は多く、和気あいあいとした雰囲気で部活動を楽しむことができました。

色白でガリガリのいかにも不健康そうな青年は、うわあ~と言いながらラケットを全力で振り回し、空振りをしまくるというユニークな人物でした。

ぼくらは彼を”ギアル”という呼び、交流を深めました。

 

ただ一人だけ、このちょうど良さを味わっていない人物がいました。

部活動選びのあたりからぼくらと行動を別にしたきゃぷてんです。彼はバスケットボール部に入部しましたが、どうやらちょうどよくなかったようなのです。

 

 

テニス部の部活動が終わったある日、ぼくらはいつものように帰路についていました。

「今日もちょうどよかったな」

「せやな」

 

ここでボブが深刻な表情で言いました。

「俺たちだけがちょうどよくなってええんか?」

 

「どういうこと?」

 

「どうやらここ数日、きゃぷてんが部活に行ってないらしいんや」

 

「そうか。まあバスケ部ではキャプテンになられへんって気づいたんかもな」

 

「いや、バスケ部は練習もかなりきつくてパワハラも横行しているらしい」

 

「そうか…」

 

「救うしかないな」といったボブの行動は速かった。

彼はすぐにきゃぷてんに連絡をとりました。そしてぼくらの地元である西桜駅に集まりました。

 

 

「正直さ、どうなん?」

中学の同級生だったボブはきゃぷてんの思いの丈を尋ねました。

 

「どうって、バスケ部はきついよ」

 

「これからどうするん?」

 

「帰宅部はいややけど…」

 

煮え切らないきゃぷてんの返事をみて、ボブはぼくの肩を叩きました。

 

「とっしー、お前の出番や。言ったってくれ」

 

そしてぼくは怒涛の口撃を始めました。

 

「テニス部めっちゃええで!!」

 

「でも、俺、テニスやったことないし…」

 

「俺もボブも織田も、テニスはやったことなかったで!

でもな、めっちゃええねん!!」

 

「どうええん?」きゃぷてんは半信半疑です。

 

「とにかくええんよ!めっちゃええで、テニス部!」ぼくはマシンガンのようにテニス部の良さを伝えました。

 

「そんなにええん?」

 

「めっちゃええで!ちょうどええし!」

ぼくはきゃぷてんがどうしてバスケ部に行かなくなったのか、バスケ部の何がいやだったのか、そんなことは一切聞きませんでした。かといってテニス部の魅力も伝えていません。

ただただワンパターンに、

 

「とにかく、テニス部はめっちゃええねん!!」を連呼しました。

 

「もうちょっと具体的に教えてくれよ?軟式テニス部ってどんな特徴があるん?」

 

「えーと、球が柔らかいな!だからバスケより危険じゃない」

 

「それは…ええな」きゃぷてんは少し頬を緩めました。

 

「それとな?テニス部はな、ガチじゃないから!

バスケ部って、ガチやろ?テニス部にはガチさなんてないから!」

ぼくはテニス部に対してとても失礼な発言をしましたが、この言葉がきゃぷてんの心を揺さぶりました。

 

「ガチじゃないんか?」

 

「ガチじゃないよ!それはテニスコートを見学すればわかる!」

いけばわかるさというその提案に、きゃぷてんはゆっくりとうなづきました。

 

 

翌日、テニス部のグラウンドにはお試し体験入部としてやってきたきゃぷてんの姿がありました。

 

練習を一通り終えたあと、ぼくらはきゃぷてんに尋ねました。

 

「ちょうどええやろ?テニス部」

 

「ちょうどええわ」

 

そしてきゃぷてんは、正式にバスケ部を辞めてテニス部に入部したのです。

そしてテニス部に、黄金の3人が揃ったのです。

 

これから巻き起こる怪進撃とは?

 

第9話 隕石ドゥーンに気をつけろ / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。

今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

 

「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、そんな結果を忘れて、ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物たちです。

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