7話 ちょうどええ部活はどこだ? / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

第6話  校長、もしや慢心ですか? / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

「そうだ、京都に行こう」

コピーライティング界隈において、これほどわかりやすいキャッチフレーズはありません。

 

そして高校一年生のぼくらは今、「そうだ、甲子園に行こう…!」と思い立ちました。

 

 

校長先生を呼び捨てにしてみるというバカな遊びをしたりして日々をテキトーに楽しんでいるぼくたちが、夢見台高校に入学してはや10日ほどが経ちました。

 

今後の学校生活を占う部活動を探しという一大イベントを迎えております。

 

この日は、ぼくとボブときゃぷてんというおなじみの3人ではなく、きゃぷてんの代わりに織田という人物を加えた3人で行動していました。

 

「そうだ、甲子園に行こう…!」とボブがぼそりと呟いたこともあり、ぼくらは野球部入部に希望を抱いていたのです。

 

織田は、ぼくと同じ中学校出身で共に野球部に入っていました。

運動神経は抜群で、野球部ではエースとして活躍。さらに彼はいわゆるイケキャラと呼ばれるタイプで、目鼻の整った顔立ちに赤色の髪型とルックス面に強みがありました。

 

ボブも中学時代は、エースとしてチームを引っ張った野球人です。

 

彼ら2人は、これまでの野球人生で幾度も対戦してきたライバルであるため、高校に入ってからは初対面と思えないほど意気投合していました。

 

そして、ぼくも野球経験者でした。とは言っても、打順は九番。二死ランナーなしでセーフティーバンドのサインが出てしまうほどの実力です。

2球連続でバント失敗、やっと打てのサインが出るも、バットは空を切り三球三振、というのが定番です。

 

そんなぼくらは、小学校、中学校と野球をしていたという経歴から、当然のように高校でも野球部に入ろうと考えていました。

 

そんなぼくら3人が野球部のグラウンドにやってくると、ユニフォーム姿のボウズのお兄さんが声をかけてきました。

お兄さんは薄い胸板にも関わらず胸を大きく張り出し、威圧感を出そうとしています。

 

「おうっ!お前らも野球部に入るん?」

 

「はい、そのつもりです」

 

ぼくらの反応をみてお兄さんはいぶかしげな表情をとりました。

「ボーズにせえよ?ボーズ!ボーズ!」

 

「ボウズですか?」

 

「ああ、ボーズ一択や!

野球部にボーズ以外はいらん。それまではグラウンドに来るな」

 

「…」ぼくらはその高圧的で一方的な話し方に好感を持てませんでした。

 

「ええか?ボーズやで、ボーズ!」少し苛立ちながらボーズを連呼したお兄さんはそそくさとグラウンドに戻っていきました。

 

 

ここでボブは、「甲子園には、電車で行こうか…」とぼそりと呟きました。

織田も「俺、ボウズにしてまで野球やりたくないし、あいつが気に食わんから野球部やめるわ」と言いました。

 

「じゃあ俺もやめとくわ」とぼくが言ったとき、ボブはぼくに言いました。

 

「とっしーだけは野球部に入れるぞ。だって、この前の散髪でボーズになりかけたやん?」

 

「いや、ボーズになってまで野球部に入りたくはないわ!」とぼくは反論しました。

それ以上に、野球部にはちょうど良さはないように感じたのです。

 

「じゃあ、全員野球部に入る気はなしということですか」ボブはそう言って、グラウンドを後にしました。ぼくと織田もそれに続きます。

 

ぼくらの甲子園への道、0.00001%の可能性はここに潰えました。

この物語は甲子園を目指す熱き球児の物語ではなかったのです。

 

 

「ちょうどええ部活がいいよな」

 

「そやな、ちょうどよさが欲しい」

 

「逆にちょうどよさしかいらんわ」

 

ぼくらはその他の運動部の見学を行いながら、しきりにちょうどよさを連呼するようになりました。野球部のお兄さんから言われた「ボーズな?ボーズ!」のようなガチ感は望んでいなかったのです。

 

その後、いくつもの運動部を見学します。

 

「陸上部はどう?」

「やめよ、露出が多いし、服が寒そうや」

 

「バスケ部はどう?」

「陸上部よりはマシやけどやっぱ寒そうや、やめよ。」

 

「サッカー部は?」

「寒さはましかもしれんけど、ガチやろ?初心者じゃ入りずらい」

 

「山岳部は?」

「ちょっと何するかよくわからんからやめよ」

 

「水泳部は?」

「夏以外することなさそうやからやめよ」

 

一通り見学してもしっくりくる部活動がなかったため、ボブはぼくに提案しました。

 

「とっしー、プール部に入れよ」

 

「は?プール部?うちには水泳部はあるけどプール部はないぞ!」

 

「知ってるよ。だから今から作るねん!」

 

「水泳部とかぶるやんけ!」

 

「かぶってもええねん。水泳部より下手やけど、一般人より速く泳げる。そんな人を集めるんや!

泳ぎが少し速いからちょっと自慢できる。それがプール部や。」

 

「そんな中途半端な部活誰が入ってくれるねん?!」

 

「部員はとっしー1人や。けど、顧問は俺が既に見つけてるから安心せえ」

 

「どんな先生や?」

 

「理科の合田先生や」

 

「体が細くて弱弱しすぎて運動部の顧問っぽくないぞ!」

 

 

どうでもいい話をしながら校内を歩く回っていると、織田がぼそりと「テニスは?」言いました。

 

ボブは「その手があったか!」と手を叩きます。

 

一体どの手だ。

 

 

そしてぼくらは、学校の端に位置するオムニコートと呼ばれる芝生のコートにやってきました。

ここでは男子軟式庭球部が練習していました。

 

ポンッ!!パンッ!!ポンッ!!パンッ!!ポンッ!!パンッ!!

 

「コーイ」

「オーイ」

「ナイッショーット」

 

軟式のボールが宙に浮かぶ雰囲気、優しそうな部員たちの表情、練習風景のふわっとした感じ…。

 

これはいかにも…カモ。

 

高校に入学した以上、帰宅部はダサい。

けどガチな部活でしんどい練習をするのも嫌。

そんなぼくらの”ゆとり魂”にジャストフィットしちゃってる感じがそこにはありました。

 

まさに探し求めていたものがここにあったのです。

 

「ここって、もしかしてちょうどええんちゃう?」

 

第8話 きゃぷてんの帰還 / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。

今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

 

「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、そんな結果を忘れて、ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物たちです。

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