5話 サンパツシテネの合図は公園で / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

4話 きゃぷてん、散髪界のポイントガード / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

ボブが操る鋭利な刃先が頭皮をツンツンしました。

「いいいでぇ~~」

 

という悲鳴がヘアサロン、もとい、公園にこだまします。

 

「おい!オーバーリアクションすんなよ!」

「痛い振りせんでええぞ!」

ボブときゃぷてんは心配するどころか、オーバーリアクションを責め立てます。

 

そんなに痛くないことがばれたぼくは「バレたか…」とボソッと呟きました。

 

 

そう、そんなに痛くなかったのです。

ケガをしたり、痛がったりすることにかっこいいと思ってしまう年ごろゆえの行動でした。

 

「もしかして、とっしーは”アピ太郎”になってしまう可能性があるな…」

きゃぷてんはその時ふと思いました。

 

アピ太郎…とは一体。

 

 

「さあ、気を取り直していくぞ!」

ボブは声を張り上げて、ハサミを握りなおしました。

 

ヒューヒューと時折吹く風が、カットされた毛を公園に撒き散らします。

 

ほどなく公園内を7,8歳くらいの小学生たちが通りました。

彼らは地面に落ちている髪の毛に気づき「あ、こんなところに髪の毛が落ちてる。ゴミのポイ捨てはだめなのに~」と言って、ぼくらをじろっと見つめました。

 

ボブは一度手を止めて、ハサミをササッと隠すと見知らぬふりをして口笛を吹いています。ボブは小学生のころからそうでした。先生に怒られそうな局面になると、何食わぬ顔で俺は悪くない感を出すのです。

 

散髪界のポイントガードであるきゃぷてんは俯いたままじっと黙っています。

彼はとにかく、シャイ、でした。見ず知らずの他人と話すときは雰囲気が一変します。

 

小学生たちは一番話しやすそうなぼくに近寄り、話しかけてきました。

「ねーねー、おにーちゃん!なんでこんなところで髪を切ってるの?」

 

冷や汗が出ました。無邪気な小学生の質問というものはなかなかストレートなものです。

「髪の毛を切りたいから切ってるんだよ」

 

「でもここって公園だよね?散髪って、ヘアサロンとかお店の中でしないといけないんじゃないの?」

 

こやつ、鋭い、と思ったぼくは適当な言い逃れを考えました。

「ここもね。”ヘアサロン”なんだよ。」

 

「え?でも、公園に…」

 

「いいかい、ぼく?髪を切る人と、髪を切ってもらう人がいれば、どんな場所だって”ヘアサロン”になるんだよ。ヘアサロンは建物の中だけ、そんな常識に囚われてしまってはいけないよ?」

おお、いいこと言ったぜ!と心の中で、思ったのもつかの間、

小学生たちは汚いものを見るような目で目を細めながら吐き捨てました。

 

「どう考えても公園じゃないか!!」

「この人、おかしい!逃げろ逃げろー!!」

 

どたどたと走り去っていく小学生たちの姿をみながら、ぼくはボブに言いました。

「頼んだ。この悲しい気持ちを吹き飛ばすくらい、かっちょええ髪型にしてくれ」

 

ボブは何も言わずに、こくりと頷きました。

 

 

「かっこいい髪型になってくれ」「かっこいい髪型になってくれ」「かっこいい髪型になってくれ」と。

自分の家の前の散髪をしているということを忘れて、ただひたすら祈りました。

 

そうして約20分後…

 

「とっしーできたぞ!アシュメヘアーの完成や!」

ボブは嬉しそうに叫びました。

そして前方でさっと、鏡を出すきゃぷてん。なぜ持っている?

 

鏡を使って髪形を確認すると、前髪の左右の長さが異なっていました。そして良い塩梅に斜めに流れています。ピンとはねた襟足もしっかりと残っています。

 

「もしや、この左右非対称の形は…?」

「そう、アシュメヘアーや!!」

 

「おお!!」

ぼくは歓喜の声を上げました。

 

「角刈り、じゃないんやな!!アシュメ、なんやな!!」

今回はマチカド調査を不意にしてしまったけど、とっしーのためを思ってほんまにかっこいいであろうアシュメにしたぞ!」

「せや、似合ってるぞ!」

 

「おお、ありがとうよ!!」

 

思ったよりめちゃくちゃかっこいい髪型に喜んでいたとき、ボブときゃぷてんはさっと両手をぼくに差し出しました。

 

「報酬、よろしく!」

「やっぱり金をとるんかい!?」

「当たり前やろ!とっしーだけええ思いをさせるわけにはいかんからな」

「値段はどれくらいなんよ?」

 

ボブときゃぷてんは少し考えこみました。

「とっしーは今日、散髪屋に行くと親に言うてお小遣いをもらってんな?」

「ああ、そうや。いつも3000円やな」

「じゃあそれを3等分やな」

「高くねーか?」

「けど、かっこよくなってるやろ?仲良く三等分が一番平和や!」

 

3000円は本来、散髪屋さんに支払う予定で、予定をすっぽかした散髪屋さんにも悪い、と思ったぼくは少し頭を抱えました。

 

そんなぼくの様子をみかねたきゃぷてんは、再度化髪を取り出し、髪型を映し出しました。

 

「か、かっこいい!!」と仕上がりに満足したぼくは、ボブときゃぷてんに1000円ずつを渡しました。

 

そして、「じゃあ、帰るわ」と言って、公園のすぐ隣の家に帰ったのです

 

ボブときゃぷてんは、悪代官のような笑みを浮かべていました。

 

 

家に帰ったぼくの髪型を見て、母は言いました。

「あんた!髪の毛なんかおかしいよ?3000円渡したのに、ほんまに散髪屋行ったの?」

 

「散髪には行ってきたよ!」

 

「でもいつもとなんか違うよ!!?」

 

まずい、母に勘付かれて焦ったぼくはまたもや苦し紛れの言い訳をします。

「さ、散髪屋が臨時休業やから自分で切ったんや!

 

「あんた凄いわね、ってそんなわけないでしょう!お金返しなさい!」

 

「ヒ、ッヒエ!!」

 

 

約1年後、ぼくらのヘアサロンは公園を飛び出しました。通学している校の敷地内で散髪をするという暴挙に出たのです。それが後々、大きな事件を引き起こします。

 

第6話  校長、もしや慢心ですか? / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。

今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

 

「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、そんな結果を忘れて、ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物たちです。

おバカなことでも全力で生きているとなぜか楽しくなる。そんな魂を届けます。

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