2話 角刈りデビュー5秒前 / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

第1話 マチカド調査隊 / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

高校デビューを決意したぼくが、自分に似合う髪型を町角で聞き始めてから10分が経過しました。

 

主婦2人、おばあさん3人にインタビューを終え、ボブときゃぷてんに結果を報告します。

 

「え~と。角刈り3人、ボウズが2人…や!おすすめの髪型ださすぎるやろ!」

 

「そうか!ボウズも捨てがたいけど、角刈りで決定やな!」

「この町の人々が言うんやから間違いない。とっしーは角刈りで高校デビューをかざるんや!」

 

ぼくは彼らの意見に納得ができません。

「いや、それはあかんて!角刈りで高校デビューするやつなんておるか?

ちょっと待っとけよ!もっと調査してくるわ!」

 

そう言ってぼくは再び調査に赴きました。

今回は、主婦やおばあさんには目もくれず、若いお姉さんや女子高生にターゲットを絞りました。

 

ぼくは体から歴戦のナンパ師のような雰囲気を漂わせて、そろり、そろりと若いお姉さんに近づきました。

 

「サーセン!サーセン!!」

「え??」

「ぼくの髪型、どんなんがええっすかね?」

「え?ど、どうでもいいです」

お姉さんの反応は、とてもとても冷たいものでした。

なんなんこの人?ナンパと思ったらおすすめの髪型聞かれた…この男の髪型なんてマジどーでもいいんだけど。そんな感情が、表情筋からゴンドワナ大陸のようにゴワゴワと滲み出ていました。

 

しかしそんな塩対応でへこたれるぼくではありません。「海賊王に俺はなる!!」なみに「カッコイイ髪型に俺はなる!!」という目標に向けて挑み続けます。

そんなぼくの様子をみながら、ボブときゃぷてんはこの不思議な光景を面白がっていました。

「なあ、とっしーってなんでマチカドで人に尋ねてるんやろうな」

「ふつうはジュノンボーイとか、おしゃれな雑誌をみて、かっこいい人を真似すると思うんよ。けどあいつは、`人に聞いてみる`という原始的な方法にこだわってるよな」

「まあ、俺らがそれを勧めてるんやけどな」

「っはっはっは~」

ボブときゃぷてんは悪い笑顔を浮かべていました。彼らは決して手を汚しません。楽しけりゃなんでもいいのです。

 

 

若い女の子作戦に一抹の不安を抱えていたとき、学校帰りの女子高生3人組が、サササっとぼくのそばを通りました。

 

よーっしゃラッキーチャンス!!!と心の中で叫び、振り向きざまに叫びました。

 

「サーセン!サーセン!!サーセン!!!」

3人相手にいつもの3倍の速度でサーセンを繰り出します。

 

「え?」女子高生は眉をひそめます。

 

「ぼくは、今から公園で散髪するんスけど、どんな髪型にしますか!?」

この頃になると、もはや質問内容が意味不明になってきています。似合うかどうかから、散髪をすることの宣言。プロ野球の予告先発のようなものです。

 

3人の女子高生は新種のウイルスを発見したかのような目でぼくを一瞥すると何も答えずに早歩きで逃げました。これが俗にいう”トンヅラ”というやつです。

 

「あぁぁあああ」と声を漏らしたぼくは、その場で両ひざをつきました。遠くではボブときゃぷてんが、途方にくれるぼくをみて笑っています。

 

 

もちろん、この当時のぼくは天下無敵の童貞でした。

道ゆく若い女の子に声をかけることは初めてであり、さらに恐怖のまなざしをむけられて逃げられるなんていうことも初めてです。

嬉しくない初体験ラッシュは、童貞のガラスのハートをブレイクしました。

 

「うぉぉおおお…」

もう、足が上がりませんでした。マチカド調査なんて、豆腐メンタルには厳しすぎる試練だったのです。

 

そんな時、遠くから声がしました。

「お~い。諦めるんか~」

「そのダサい髪型のままで高校生活を送ったら、彼女なんて一生できひんぞ~」

 

「まだだ、まだ、終わらんよ…!!!」

 

そしてぼくは、再び立ち上がりました。ただし、ブレイクしたハートはまだ回復していません。若い女性への調査を諦め、優しい回答をしてくれる主婦に狙いを定めたのです。

そう、その目は、まさにスナイパーでした。

 

「サーセン!サーセン!…(以下省略)」

 

「ふーむ。あんたは、素朴な顔やからねー。角刈りなんてどう?」

主婦はにっこりと答えました。そう、優しいのです。ぼくのマシンガントークに嫌悪感を抱くこともなく、その包容力で確実に答えてくれます。

 

だからこそ、その回答内容だけがつらかった。

 

なんで角刈りやねん…

 

ほどなく、ボブときゃぷてんがやってきました。

「どうやった?結果は」

 

「あー。アシュメって言われたわ!!君はアシュメが似合うやってよ!アシュメ。散髪してくれ!」と答えます。

 

これはぼくの秘策でした。調査中に若い女子高生の会話で、「マジでアシュメヘアいいよね~」「今はアシュメだから~」と言っているのを耳にしたのです。

もちろんぼくにはアシュメが一体何なのかは理解していません。

 

「アシュメ?嘘つくなよ。角刈りやろ?」

 

「いや、アシュメやって!アシュメ!」

ぼくはアシュメでゴリ押ししました。直球しか投げられないリリーフ投手のように。

 

「じゃあアシュメがどんな髪型か言ってくれよ?」

 

「アシュメはあれや、その~アシュメや」

 

「とっしー、嘘はあかんって。正直に言ってくれたらカッコいい角刈りにするやん?

でもこのまま嘘つくようなら…きゃぷてん、言ってやってくれ」

きゃぷてんは突然ボブからパスを渡されて困惑しました。

 

数秒ほど考え込んだあと、

「ボウズや。アシュメが嘘なら、ボウズやな」と言いました。

 

その瞬間、ぼくは頭が真っ白になりました。

 

ど、どうする?ボウズになるのか?いや、正直に話すか?それとも再度調査を行う?

けど、女子高生から逃げられたじゃないか。また失敗するぞ?もうあんな思いはしたくない。

逃げちゃダメだ、逃げちゃ…じゃあもう、受け入れるしかない…

 

「う、うそやあ~~~、角刈りや~~。角刈りにしてくれ~~!!」と叫んでいたのです。

 

「はい、じゃあ角刈り決定でーす!!」

 

「よっしゃ~!角刈りや~~!」

なぜか角刈りで喜んでいるぼくは、ボブときゃぷてんの掌で転がされていることに気づいていませんでした。

 

「しかし今回の調査隊は収穫だらけやったな」ボブは満足げに話します。

「どこがやねん?若い女子は、俺が話しかけたらですぐ逃げることがわかったわ」とぼくは肩を落とします。

 

しかしきゃぷてんはそんなぼくの肩を叩きました。

「そんなことどうでもええんや。もっと大切なことがわかってよかったやん?」

「大切なこと?」

「おばちゃんはな。三度の飯より角刈りが好きや。

そしてとっしーの次の髪型は、角刈りや。」

角刈りで高校デビュー、ぼくはその響きに妙な高揚感を覚えていました。

第3話 人を待たせるべからず / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。

今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

 

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