9話 じゃんけんロワイヤル(1) 3分1000円 / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅱ章

じりり、と2人の高校生が向かい合っています。どこかの島で決闘するかのように。

腰を低く構え、蓄えたエネルギーを放出するように拳を突き出しました。

 

「っじゃんけんっほいっっ」

「うわっー、負けた」

 

「はい!100円ーっ!!」

 

「じゃんけんっほいっ」

「あっかんっまた負けた!」

 

「はい!200円ー」

 

「じゃんけんほいっ」

「ああぁあ…」

 

「はい、300ー!」

 

「ちょっと待ってくれ、倍チャンしてええ?」

「ええで。」

 

「じゃんけんほいっ」

「…」

 

「600っっっ」

 

「もっかい倍チャン!」

「じゃんけんほいっ」

 

「1200っっー!」

 

 

15分前のことです。

部活が終わったあと、俺たちバグジー3人と織田の4人は、西桜ヶ丘駅前の協栄スーパーのベンチに座り込んでいました。さっき購入したお菓子をボリボリと口の中にいれています。

 

しかしぼくだけは手ぶらで、「ああ、金がないなあ」と呟いて困っていると、ボブは言いました。

「それなら稼げよ」

 

「どうやって?」

2009年当時はNFTもMove to Earnもありません。時間を費やすアルバイト以外に一体どんな稼ぎ方があるんどえしょう。

 

「じゃんけんや」

 

「は?じゃんけんで稼ぐ?そんなんあるん?」

 

「あるよ。2人でじゃんけんして、勝ったほうが100円を貰える。そんな単純な”お遊び”をするんや」

 

ぼくはボブの発言に驚きました。それは稼ぐことではなく、弱肉強食の奪い合いです。

成長戦略を実質放棄して、衰退する国でパイを奪い合わせあうどこかの国の某首相のようです。

 

その時です。織田がさっとぼくの方に振り向くや否や、声をあげました。

 

「っじゃんけんっほいっ!!」

 

なに?という思いで、条件反射的に反応したぼくは、そのじゃんけんに応じました。

 

織田のゴツい手はパーを示し、ぼくの色白の細い手はグーを示しています。

 

「はい!100円ーっ」と、きゃぷてんが審判を下します。

 

「は?!おっかしいやろ今の!あんな急に始まるとかよ!俺は同意してない!」と、ぼくは声を荒げて反論します。

 

「同意してないならじゃんけんに応じんかったらええやん?」ときゃぷてん。

 

「いや、とっさに言われたらじゃんけんしてまうし、力んでグーを出してしまうやん」

 

「それは知らん」

ぼくときゃぷてんのやり取りを聞いて、織田はニンマーリと笑っています。

 

ここでボブは救済案という名の煽りを行いました。

「ここでやめたら100円取られるだけやねんからな。もっかい挑めよ」

 

「わかった」と言って、ボブの提案に応じたぼくは、織田をにらみつけます。。

 

「さあ、いくぞっ。じゃんけんほいっ」

 

チョキとパー。

 

ここでは無事、ぼくが勝ちました。

 

「はい、0ー!」

「何もなかったな。ただの茶番や」

ボブときゃぷてんは、傍観者として冷静に状況を報告します。

 

「おい、もっかいやろ」鋭い眼光で提案するのは、最もお金に貪欲な織田です。

 

「嫌や。もうええわっ」リスクを避けたいぼくは断りますが、傍観者2人はそれを止めます。

 

「とっしーそれでええん?こんなに稼げるチャンスないで」

「いや、でもやめとくわ」とぼくは遠慮します。

 

「まあビビってやらんのもありやけどな」

「俺らはリスクがあるからやらんよ。ただとっしーも俺らと一緒ってことやな?ビビってる。もっとガッツある奴やと思ってたのに残念や」

ボブときゃぷてんのそそのかしを織田はニンマリ見ています。

 

がっかりされたくない、期待されると応えたいという単細胞な思いがぼくの思いに火をつけました。

 

「あっーたよ!やるよ!!いくぞ織田!」

まんまと乗せられたからにはノリノリでじゃんけんを挑むしかないのです。

 

「っじゃんけんっほいっっ」

「うわっー、負けた」

 

「はい!100円ーっ」

 

「じゃんけんっほいっ」

「あっかんっまた負けた!」

 

「200円ー」

 

連敗に顔が引きつるぼくとニンマリする織田をみて、傍観者の2人はニヤニヤしていました。

そう、これがボブときゃぷてんの本質です。彼らは決して自分が主体者にはなりません。ですが、煽ることにより感情が露わになる人情物語を楽しんでいるのです。

 

「じゃんけんほいっ」

「ああぁあ…」

 

じゃんけん…

じゃんけん…

 

「はい、500!」と審判であるきゃぷてんの声が響きます。

じゃんけんというのは基本的に五分五分の確率です。5連敗する確率なんて一桁%しかないのですが、ぼくは驚くほど負け続けました。

 

ここできゃぷてんが救済提案を出しました。

「ちょっととっしーが劣勢に立ちすぎてゲームバランスがおかしい。

5連勝で500円の挽回はきついから、次は1回500円で行かんか?」

 

レートを上げるという提案に、織田は一瞬戸惑いつつも承諾します。

「ええで」

微かに見せたその笑顔からは、彼の脳裏に”ここで勝てば1000円”ということが浮かんでいることが予想されます。デフレ化でハンバーガーつ100円の時代の高校生にとっては、めったに手にできない大金でした。

 

「じゃんけんっほいっ」

 

「あ…」と、漏れる嗚咽。

「ッッッシェェアアッア!」と、織田の咆哮。

「うぉっっっ1000円やあっ!」傍観者の2人は、思わぬ金額の跳ね上がりに歓喜していました。

 

「うおうあぁあああ!!」ぼくはまたしても膝から崩れ落ちました。

 

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。

今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、そんな結果を忘れて、ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物たちです。

おバカなことでも全力で生きているとなぜか楽しくなる。そんな魂を届けます。

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