5話 「遠慮すんな、もっとキレろ」カチキレ教唆 / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅱ章

サボりたい。

何かをやりたくて部活動に入ったはずにもかかわらず、人はそう思うことがあります。

 

サボる。それは思春期特有のものでもなく、大人になっても襲われる怠惰の罪です。

 

「今日さ、部活さぼろうぜ?」昼休みの渡り廊下にて、ぼくはきゃぷてんにそう言いました。なにわのスピン野郎と言われて上達しなくなっていたテニスが面倒になっていたのです。

「そんなこと言わずに行こ」きゃぷてんは道を踏み外そうとするぼくにまっとうな言葉をかけます。

「でもさ…」

「お前さ。テニス部ってとんでもなく楽やで。少なくともバスケ部より。だからあんなもんさっとこなすだけでええんや」バスケ部という荒波に耐えきれずテニス部に編入してきたきゃぷてんの言葉には説得力がありました。

 

 

どの運動部であっても、入ったばかりの1年生の中心メニューは基礎体力作りです。

 

ランニングや筋トレといった決して楽しくはない練習を前向きに捉えて、一生懸命取り組める人はめっちゃくちゃ上手くなります。

そういった人々は逞しく尊敬に値する人物です。

 

しかし、バグジー親衛隊のぼくらは違いました。

「しんどいわー」

「だりー」

「きっちぃっぜっ」

今日の部活動でも、軽口で文句を言いながら、いかに手を抜けるかを考えています。

 

なお、1年生の基礎トレーニングには監視の先輩が1人つきます。毎回異なる先輩が日替わり弁当のようにやってくるのです。ぼくとギアルが、下手過ぎる乱打で怒らせてしまった山川さんが来た時なんて、まあ大変です。

 

「お前らちゃんとせえよ!」山川さんは厳しい視線でぼくらを監視します。

表面上ではにこやかにしている1年生たちでが、先輩がいなくなった隙に、コソコソと話し合います。

 

「山川さんって厳しいな。雰囲気が大人や。年齢一つ上とは思えんわ」

「あんな偉そうに言われたら、部活に先生おるみたいやな」

「あの雰囲気はさ。1年くらい留年しとかんと出せんぞ」

「アホか、1年じゃ足りん。10年くらい留年してたやろ」

 

「10年、留年!?精神力すげーなっ!」

「ギネス認定したればええのにな!10年留年した高校生って」

 

「お前らア!!!誰が10年留年やあっ!今、言った奴こっちこい!」遠くから、山川さんの叫び声がします。

もちろん誰も行きません。

 

 

だいたいこんな感じで、ヘラヘラと部活動をこなしているぼくらでした。

たとえ先輩が見張っていようとも、腕立て伏せや腹筋背筋などは、サボろうと思えばいくらでもサボれます。

 

問題は、全員で手をつないで輪になって行う”スクワット”です。

スクワットは一人で黙々と行うイメージがありましたが、わが校のテニス部は違いました。文化祭でのマイムマイムのように円になって手をつなぐのです。

女の子と手を繋ぐならまだしも、男たちが顔を合わせて、手をつなぐ…その手には男油がぎったぎたです。

 

「いっちにいさんっ」

「にっいにいさんっ」

「さんにっいさんっ」

という掛け声に合わせて、ステップを踏みながら脚の伸縮を繰り返します。

 

「ひぃっー」

「ひい」

「んがあっー」

 

と叫びながら1年生たちはスクワットを続けます。

 

「俺、マジで無理や!もう足が曲がらん!」

「死ぬっ!死ぬっ~!思い残しすぎた~!」

 

たいてい、そんな宣言をする奴ほど案外余力があるものです。

本気で疲れた奴は声も出ずすぐに倒れますから。

 

 

鬼のように厳しい練習、輪っかスクワットが終わり、1年生たちには束の間の休憩時間が与えられました。

 

そんなとき、2年生の島本先輩がギアルに指示を出しました。

「おい、そこのお前。倉庫の鍵とってこい」

 

そのときギアルはとんでもないことを口にしたのです。

 

「なんで俺やねん」

 

「お前や!!」島本先輩は、ギアルの思わぬ反抗にイラついています。

 

ギアルは「チッ」と、先輩に対して舌打ちをしました。

 

体育会系の部活というのは、ぼくらのテニス部のような雰囲気カモな部活でさえ、一応、上下関係はしっかりしています。

先輩に刃向かうなんて、言語道断。

ましてや舌打ちなんてもってのほかです。

 

もちろん、島本さんはあからさまに怒っているため、その空気を察して、一同の場が氷つきます。

 

しかし、そんな緊迫した空気の中、笑いを必死にこらえている3人がいました。

そう、ぼくときゃぷてんとボブ、バグジー親衛隊の面々です。

 

ぼくらは渋々と鍵を獲りに行くギアルの元への駆け寄り、ギアルに質問しました。

「お前ってさ、今、ふざけてる?」

 

「ふざけてないよ」ギアルは口をとがらせます。

 

「もしかして、本気で先輩にキレてるん?」

 

「もちろん、本気や」

ギアルはそう呟き、不機嫌な表情を浮かべています。

 

「鍵をとりにいくのがそんなにいやなんか?」

 

「理不尽やからや。あんなにたくさんの1年がおるのになぜか俺一人だけが鍵をとりに行かされる。これは理不尽や」

 

ぼくとボブ顔を見合わせました。

 

…こ、コイツやべえ!

先輩に、鍵取りに行けと言われただけでカチキレてる。なんでその程度でキレるねん!

こんな、面白い奴おるか?

その場に居合わせた誰もがそう思ったでしょう。

 

しかし、きゃぷてんだけは違いました。真顔でギアルにアドバイスします。

 

「遠慮すんな、もっとキレろ」

 

「ありがと、これからもキレていくわ」

 

2009年の歴史に残る事件が起こりました。

これがいわゆる、”カチキレ教唆”です。

 

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。

今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

3話 練習をしすぎて、逆に下手になる / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅱ章

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