15話 看守を監視するきゃぷてん / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

“小学校の池で鯉を捕まえる”

それが4人に与えられた、いや、勝手に作り出したミッションです。

 

ぼくらは池を前にして、今か今かと突入を心待ちにしていました。

 

そのとき、きゃぷてんがぼくらに指示を出します。

 

「ここできゃぷてんの俺から、今回の役割分担をみんなに言います」

 

「は?そんなもんいるか?!俺が鷲掴みで捕まえる、それだけや!」織田はこれを荒げます。

 

「待てって織田。落ち着け。お前が鯉を捕まえたい年ごろなことはわかる」

 

「わかるんかい」ボブは突っ込みます。

 

「けどここはチームプレイで行こう。最前線で鯉を触り、捕獲する役目はとっしーや」

 

「おい、なんで俺に先鋒を任せてくれへんのやあ!!」戦国時代に先陣を争う武将のように織田は不平を口にします。

 

「織田はやる気がありすぎる。鯉をものの数秒で捕まえて、持ってきた網と七輪であっというまに焼いて食べてしまう恐れがある。さすがにそれはまずい。まずはとっしーに挑戦してもらって、全くうまくいかへん感じを見物しながら楽しむとしよう

 

「それなら納得や」と、織田は納得しました。プライドの高い彼の自尊心を保つようなきゃぷてんの見事な説明でした。

 

きゃぷてんは説明を続けます。

「とっしーが池の捕獲に当たっている間、ボブと織田はすぐ両サイドの後ろで支援にあたってくれ。ボブは右サイド、織田は左サイドをみて、今どこの位置に鯉がいるか、位置情報などの提供してやってくれ。今回の作戦趣旨はこれや!」

 

「ん?きゃぷてんは?」とボブが尋ねます。

 

きゃぷてんは、「俺は監視や」と答えます。

 

「監視?」

 

「校庭を監視しているマゼランことあのおばちゃんを監視する。あのおばちゃんが近づいてきたらみんなに危険を知らせるから。マゼランが来るぞっ!逃げろっ!って」

 

「それだけ?」

「けっこう楽やな」

「その役目いる?」

ぼくら3人はきゃぷてんの役目をいまいち納得できていませんでした。

 

「いるよ。

お前ら、俺たちが今からすることの深刻さをわかってるんか?」

 

「鯉を捕まえるんやろ?」

 

「そう、言うたら鯉泥棒や。お縄にしょっ引かれる危険だってあるんやぞ?」

 

「あっ!!」

ぼくらは事の重大さに気づきました。

 

「もっとこのミッションの危険を理解しようぜ。

監視役のマゼランは、校庭をぐるぐる見回ってる。もし4人が鯉に集中していたら、いつ俺たちがマゼランにみつかるかわからへん。

校庭を見渡し、マゼランの場所を確認する。監視者が池に近づいてきたら、みんなに逃げろ!と周知する。それが俺の役目や」

 

「なるほどな」

「さすがや」

「1番地味やけど大事な役目を自分が引き受ける、まさにきゃぷてんらしいぜ」

ぼくら3人は一転してきゃぷてんを賞賛し始めました。

 

きゃぷてんはニヤニヤしています。

「じゃあ、始めようか!」

「おう!!!」

 

 

役割分担が定まったため、まずは池の様子を確認します。

池の端の方の一角には、網の板で覆われた稚魚専用水槽があり、水中の底にはたくさんのレンガが沈んでいました。鯉たちは縦横無尽に池の中を泳いでいます。

 

鯉捕獲の最前線に任命されたぼくは、体を乗り出して池の柵を乗り越えます。そして、池の中にある人が一人立てるほどの大きな石の足場に移動しました。

 

「いくぞっ」

ぼくは手をヌルヌルした汚い池に、手をつっこみました。

 

ずぼっ。

 

藻のようなものが手に絡みつき、ぞわぞわっと身震いします。

 

「てかとっしー、こんな汚い池によく手を入れれるな」ボブはシンプルな感想を述べます。

 

「汚いなんていうてて鯉が捕まえられるか!!」ぼくはそう叫んで、池の中で手を動かして、鯉を掴もうとしました。

 

鯉はぼくの手を感知したのか、巨体をニュルニュルっと動かして逃げます。その動きは案外早く、鯉に触れることすらできません。

 

 

池の面積は学校の教室の半分くらいはあるため、そこそこ広いため、鯉はその中を縦横無尽に動けます。

しかしぼくが移動できる場所は、池の周囲と中央の足場のみと、圧倒的に不利な状況です。

 

ここでサポート役のボブが、「俺に妙案がある」と言いました。そして、「とっしー、鯉じゃなくて、池の中にあるレンガを持ち上げて移動させるんや!そして、池を遮断しろ!」と叫んだのです。

 

ぼくは「なるほど!」と閃くと、ずぼっと手を池の中に突っ込みました。そして、底に沈んだレンガを持ち上げてひとつずつ動かし、積み重ねていきます。

池の中版、万里の長城の構築です。レンガを池の中央に並べて、池を半分に遮断したのです。

 

「よし!これで鯉の行動範囲が半分になったぞ!」

 

「せやな!これでもう一回挑むわ!」

 

そして、ぼくは再び池に手をつっこみます。

 

ヌルっ…

 

「触れたあっ」

 

ついに鯉に触れることに成功しますが、その後、触れた鯉の姿が見えなくなりました。

「あれ!?どこ行った!?」と慌てるぼくに、「足場の真下や!」と織田が叫びました。

 

「真下?」と言ってのぞき込もうとすると、バランスを崩して危うく池に落ちそうになってしまいます。

 

「うわ!」と慌てるぼくに、ボブは「落ちた方がおもろいぞ~!」と笑っています。

 

そう言われては意地でも落ちるわけにはいかないため、ぼくは態勢を低くしてそっと足場の下をのぞきました。どうやら足場の中は空洞になっており、鯉はその中に身を隠すことができるようでした。

 

「なるほど、こんな構造になっているんか」

 

 

「いけいけ!」

「右や!」

「そこですくい上げろ!」

 

鯉捕獲をはじめてはや15分。

ぼくらは池の構造を知りレンガで万里の長城を築き、試行錯誤を続けましたが、鯉に触れるだけしかできず捕獲には至りません。

 

ここで、忘れてはいけないことがあります。ぼくらが一心不乱に鯉捕獲に熱中できるのはきゃぷてんがマゼランを監視してくれているからです。

 

しかし、それは大きな誤解でした。

 

「いけっ!もっとっ鯉をガッて掴め!」

 

ぼくの背後でボブや織田よりも必死になって指示を出している人物がいるのです。

そう、それはきゃぷてんでした。

 

「あれ!?」きゃぷてんの位置にぼくら3人は違和感を覚えます。

 

「あれ?きゃぷてんマゼランの監視はしてる?ちょっと前に出てきすぎじゃない?」ぼくらは心配になってきゃぷてんに尋ねました。

 

きゃぷてんは監視役はつまらねーよという雰囲気を醸し出しながら、頭をポリポリとかきなす。

「いけるいける。たまに横目でチラッと監視してるから大丈夫」

 

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

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今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

 

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