6話  校長、もしや慢心ですか? / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

5話 サンパツシテネの合図は公園で / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

カッカッカ…

足音を立てて階段を下りるスーツ姿の初老男性の真上から叫び声がしました。

 

 「お~い、おまえ!こっち向いて~やっ!」

 

「…」

この言葉に対して誰も反応をしません。スーツの男性はもちろん、階段を歩く上級生たちも無反応です。

 

「お~い、こっちやこっち!おまえのことやぞ~!」

 

「…」

 

とある日の休み時間のことです。ぼくは校内の階段の上から’ある人物’に声をかけていました。

その人物とはこの学校の校長先生です。

 

常識外れ、失礼にもほどがあります。

 

考えてみてください。

学校における階級ヒエラルキーの最高権力者である校長先生に対して「おまえ!」と呼び捨てをする。

 

そんなことをしてタダで済むのでしょうか。

 

「お~い!こっち向いて~やっ!」

ぼくは真顔で階段を下に降りる校長先生を呼びかけました。

 

ですが校長先生は全くこちらを振り向きません。

 

「なあ、なんで反応してくれへんのや?」

ぼくは疑問を抱きながら隣にいる悪友たちに尋ねました。

 

「とっしー、俺たちはなんで今、こんなことをしてると思う?」

ボブはぼくの質問に質問を返しました。

 

「なんでって、イタズラやろ?」

 

「違う」

 

「刺激的なイベント?こういう謎イベントは、無機質になりがちな学校生活を楽しくしてくれる?

 

「違う。じゃあ…待っとく」

 

「…って、待つなよ!!橋田先生かよ!?」

 

ボブは黙りこくり、きゃぷてんをちらりと見ました。

これはボブの合図です。

たぶん彼は、答えなど用意していないのです。だからきゃぷてんに助けを求めました。

 

きゃぷてんは少し困った顔をしながらも、「慢心やな」とぼそりと言いました。

 

「慢心…」予想外の返答に目を見開きます。

 

「校長先生っていうのはな。その地位にたどりつくまでに相当の苦労をしているんや。下っ端の先生時代を乗り越えて、ちょっとドヤ顔できる学年主任になる。そして、肩書を与えられてからは、教育委員会にも評価されないとあかん。

実績が認められて教頭となり、数多の教頭たちの中から選び抜かれた戦士のみが校長先生という校内の最高権力者になるわけやな」

 

「ほう…」

 

「けどな。先生っていうのは会社で働いたことがない」

 

「それは俺たちもいっしょやけどな」

 

「会社ではたとえ出世をしても、どこかで監視の目があったり株主からの圧力があるやろう。ただ学校という組織は非常に閉鎖的や。教育委員会の監視さえ切り抜ければ…

と思って、この世の春を謳歌している校長先生もおるかもしれん。それは組織の腐敗につながる」

 

「なるほど、それが慢心か」

 

「もちろん、うちの学校の校長は慢心していないかもしれへん。

そして、慢心しているかどうかをチェックしているのがこの活動や」

 

「なるほど!だから階段の上から”おい、おまえ!”と叫んでみているんか!?」

 

「そう。校長が慢心しているなら、この学校内に自分をお前と呼んでくる人物などいるはずはないタカをくくっているはずや。いや、お前と自分が呼ばれる1mmの可能性さえ検討しない。だから反応するはずがない」

 

「なんという巧妙な作戦や。

俺たちはこのスリルを楽しみつつ、校長先生は自分が慢心してるかを確認できる、と」

 

「そうや!俺はそれが言いたかったんや」ボブはとってつけたようにきゃぷてんに同調しました。

 

きゃぷてんはほっとした顔をしています。きっとボブから無茶ぶりされた一瞬でこのコジツケを思いついたのでしょう。さすが司令塔、ポイントガードです。頭の回転が速い。

 

「そうと決まれば、慢心してるか俺たちがチェックしとかんとな!」とぼくは張り切りました。

 

ただし、あーだこーだ話しているうちに校長先生は階段を下りてどこかに行ってしまいました。

「あ、もうおらへんわ」

 

そんな時に、一階から上の階に上がってくる人物がいました。

 

待っとく事件で僕らを苦しめた、橋田先生です。

 

「おい、さすがにあの人相手はまずいぞ…ときゃぷてんがぼそりと言うのも聞かず、ぼくはやってしまいました。

 

「おーい!おまえ~~!おまえやぞ~~!!」

 

しかし、これがまずかった。

階段の周囲に生徒はおらず、橋田先生だけが階段を上がってきていたのです。さらにぼくとがっちりと目が合ったのです。

 

橋田先生は眉を顰めると、猛然とダッシュをして階段を上がってきました。

 

「ヒッヒェ!!」

「うぉ!!」

「にっにげろ!!」

 

三人は脱兎の如く逃げだしました。廊下をドタドタとはしり、付きあたりの多目的室の中に入ります。

 

「ここまでくれば大丈夫か…」

ぜえぜえと息を切らしながらぼくらは肩を落としていました。

 

「橋田先生の目つきとダッシュ、めっちゃ怖かったな」

「ああ」

 

そのとき、きゃぷてんは言いました。

「なあ、俺たちが一番慢心してるんじゃないか?」

 

「…!?」

「…!?」

 

「俺たちは校長先生に、慢心するなということを知らせるためのイタズラと考えてた。

校長先生にもし、”ワシをお前と呼んでいるのか!?”と詰められたとしても、”違いますよ!階段を歩くそこの友人に対してです。学校で1番偉い校長先生にそんなこと言うはずないじゃないですか?!”と言い訳をして逃げ切るつもりやった。

それで逃れられるという気持ちが、慢心や。」

 

「これってそれが一番の慢心やったな」

「ああ、新入生のうちの4月はどんなイタズラでも許されるっていう慢心が、俺たちにはあった…」

 

「校長、いや、橋田先生はそれを教えてくれたんか」

 

「たぶんそうやろうな。俺たちのとちくるった遊びに喝を入れようとしたんやろう」

 

「…」

しばしの沈黙がありました。

3人は反省しているような面持ちを見せています。

 

この沈黙を破ったのは、ボブでした。

「でもさ。次も絶対やろうな?」

 

ぼくときゃぷてんは同時に答えました。

「あたりまえや」

 

そして、3人はにんまりと笑いあいました。

 

退屈な日常を彩るためにはなんだってする。それがぼくらの青春なんだ。

 

第7話 ちょうどええ部活はどこだ? / 俺たちバグジー親衛隊 Ⅰ章

 

【貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!】

疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。

「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しいですよ!人生って結構面白いですよ!」

当ブログ「俺たちバグジー親衛隊」は、私自身の実体験を元にした小説を投稿しています。

大人になると、腹を抱えて笑ったり、ワクワクしたり、冒険することがめっきり減ってしまったりしませんか?そんなあなたに、いや、私自身に届ける物語が、「俺たちバグジー親衛隊」です。

今こそ”おバカな青春”を思い出そう!!そう思い、私は”俺バグ”を再び書き始めることにしました。

 

「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、そんな結果を忘れて、ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物たちです。

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